私はスポーツ、ことに球技は絶望的に下手で、
バスケットボールに至ってはプレイするなんてとんでもない、
観戦も全然しませんが、
なぜか十代の頃は漫画「スラムダンク」を読むのが好きでした。(自分でも不思議…)
この漫画、心に残る名台詞の嵐なのですが
心に残った台詞の一つ、
「ボールに対する執着心のない者は試合には使わん」
このセリフを、最近読んだこの本で思い出しました。
『ブラームスの音符たち』
池辺晋一郎・著
単なる伝記でも、楽曲紹介でも、アナリーゼ(分析)でもない、
ただひたすら音符に注目し、作品の、作曲家の凄さを讃えた本…とでも言いましょうか、
とにかく音符に対する唯ならぬ執着心を感じる文章です。
元々音楽雑誌に連載されていたものを書籍にまとめたので、
譜例がとても多い!
雑誌でしたら大きな見開きページで、文章も譜例もいっぺんに見れるのでしょうけど、
本になるとページを行ったり来たりせねばならず、読むのがちょっと大変でした(^^;
著者の池辺晋一郎さんが作曲家だからでしょうか、
「この一音がすごい」「この一音に命かかってる」という
ブラームスに対する強烈な共感も伝わってきました。
ふと考えました。
音符に対する執着心、私はどうだろうかと…
スポーツの試合と同様、音楽も特定の事柄に固執せず、冷静に全体を俯瞰する事も大事です。
また、最初から最後まで全力出し切りだと途中で息切れしてリタイアしてしまいますので
力の出し方も緩急つけるのが大事です。
でも一貫して、「一つのボールも逃さない」「一つの音符も疎かにしない」
ある種の執着心がやはり不可欠なのだと思います。
私は、まだまだかな(^^;
もっともっと音符に込められた作曲家の思いを汲み取れるようになりたいし、
生徒さんにも音符の意味を伝えたり、一緒に考えたり感じたりしたいな(^ ^)
音符に対する執着心のない者は…良い音楽できませんよね。
この池辺晋一郎さんの「〜の音符たち」シリーズはたくさんあって
他の作曲家についてのものも、そのうち読みたいなと思っています。