「緊張を楽しむ」
これは先月私自身が発した言葉です。
先月半ばに、世田谷のリトミック音楽教室の発表会リハーサルが行われました。
こちらの教室、「みんなのひろば」という名前の通り、老若男女問わず音楽を学べます。
今回、ピアノの部に珍しく大人の方が出演されました。
私はその方のピアノ指導は担当してないのですが、リトミッククラスの保護者さんとして長いお付き合いがありますので、気軽におしゃべりしていました。
「どうしても緊張しちゃうんですよ…先生、どうすればいいと思います?」
その方に切実な表情できかれ、私も「うーん」としばし考えた後、
口を衝いて出てきた言葉が、冒頭の
「緊張を楽しむ」でした。
相手の方もちょっと意外な答えだったせいか、困惑されていました。
きっと緊張の解し方などを聞きたかったですよね…すみません…
自分でも言ってびっくりしましたが、
ああこれが、長年人前で演奏してきた私の、行き着いた答えなんだな。
と、妙に納得しました。
私は演奏の仕事は現在していませんが、
何十回と、人前で演奏する経験を積んできました。
緊張?そりゃしますって。
昔は緊張を無くそうと躍起になっていた時もありましたが、
いつの頃からか、緊張を否定しなくなりました。
まず、緊張する気持ちもまた、ありのままの自分の一部である。
緊張を否定することはそんな自分を否定することじゃないか?
自己否定していては、良い自己表現ができる訳がない。
あと、緊張の有無と、演奏の出来不出来は必ずしも一致していない。
緊張しても良いパフォーマンスができることもあれば、
緊張して無くてもイマイチな結果のこともあります。
緊張はうまく働けば強靭な集中力となり、良い演奏へ導いてくれます。
悪いのは緊張する事そのものではなく、
音楽に集中できなかったり、身体に力みが生じたり、心拍数が極端に上がってしまったり、そういう事柄なんです。
そうしたことを一つ一つ解決していけばいいんです。
なので、もし自分が緊張していることを自覚したら、まずそんな自分を自分で受け入れること、
そして緊張しているその非日常な状況を、とことん楽しむこと、
緊張を良い緊張感に昇華して、集中力を得ること…
これが私が行き着いた「緊張との付き合い方」結論なんだと思うのです、多分。
上手くいくことばかりではありませんが、
こうした自分なりの考えをもとに、
生徒さんのメンタルがきつい時は、支えることができればいいなと思います。
実はそのリハーサルと前後して、
テレビで映画監督の黒澤明さんの特集番組を見ました。
俳優の山崎努さんが、監督との思い出として、黒澤さんのこんな言葉を披露してくれました。
映画作りは「毎日毎日、瞬間瞬間を楽しんで、一生懸命…(中略)…気がついたら終わってるんだ」
演奏も同じだと思います。
上手くいかない事も、緊張する事も、全てを楽しんで…
いつの間にか終わってる、そういうものですね。
黒澤明さんの言葉を知って、自分の緊張との向き合い方は間違ってはいないかな、と思いました。
新年度に入ったら、ミニコンサート(おさらい会)の準備に本腰を入れます。
師匠の門下生演奏会も、今年は参加します!
緊張と上手く付き合って、緊張を上手く利用して、
良いパフォーマンスが出来るようにとにかく頑張ります(^^)